NLB-ルドルフ・シュタイナーという謎:グノーシス主義者なのか
ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner、1861〜1925年)とは何者だったのか
——この問いは、一見シンプルに見えて、
じつは現代思想の地下深くまで掘り進めることを要求します。
彼は「人智学(Anthroposophy)」という
独自の霊学体系を打ち立て、
ヴァルドルフ教育やバイオダイナミック農法として
今も世界中に影響を与え続けています。
しかし、その思想の「地盤」が何だったのかについて、
正面から検証した研究は驚くほど少ないのです。
シュタイナーは本当に、
物質世界を肯定する新プラトン主義的な一元論者だったのか。
それとも、グノーシス主義的な二元論を、
哲学的な衣で巧妙に覆い隠していたのか。
本稿で追うのは、その深層に潜む緊張と矛盾です。
⭐️薔薇十字会という組織の「本当の設計者」:ベーコンとグノーシス主義
出発点は、シュタイナー自身です。
彼は自らを「薔薇十字会的・秘教的キリスト教の継承者」
と位置づけていました。
ここから糸をたどらなければなりません。
薔薇十字会(Rosicrucianism)とは、
17世紀初頭にヨーロッパを震撼させた秘密結社で、
その最初の宣言書「ファマ・フラテルニタティス(Fama Fraternitatis)」は
冒頭から、こう高らかにうたいます。
「全世界の改革(reformation of the whole world)」。
この一文こそが、薔薇十字会というプロジェクトの野心そのものでした。
では、この宣言書を書いたのは誰か。
その「実質的著者」として浮かび上がるのが
フランシス・ベーコンです。
「大英帝国そのものが、
ベーコンの薔薇十字会的ビジョンの巨大な具現化だった」
という読み方があります。
その文脈では、ベーコンとドイツ側の協力者であった
錬金術師ミヒャエル・マイアー(Michael Maier)が、
この宣言書を匿名で世に送り出したとされます。
薔薇十字会員たちは、
後のフリーメーソンの母体となる
「プロト・フリーメーソン」として機能していた、
という指摘も重要です〔1〕。・・・
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