NLB-水は「H2O」なのか?
教科書には「水は水素と酸素からできている」と書かれています。
化学の授業では、水の化学式はH2Oであり、
水素原子2つと酸素原子1つが結合してできた化合物だと教わります。
これは現代科学の基礎的な知識として、
誰もが疑わない「常識」となっています。
しかし、科学哲学の領域では、
この一見自明な説明に対して、
重要な疑問が投げかけられています。
それは、「理想的な意味での”水素と酸素だけ”から、
完全に新しい水を作り出した実例は、
実は存在しない」という事実です。
こ複数の著名な科学哲学者や化学者が、
学術論文や書籍を通じて、この問題を真摯に議論してきました。
⭐️自然界の水は単一の物質ではない
自然界に存在する元素の多くは、複数の同位体を持っています。
同位体とは、同じ元素でありながら、
原子核内の中性子の数が異なるために質量が異なる原子のことです。
水素には、通常の水素(プロチウム、¹H)のほかに、
重水素(デューテリウム、²H または D)、
三重水素(トリチウム、³H または T)が存在します。
酸素にも、酸素16(¹⁶O)、酸素17(¹⁷O)、酸素18(¹⁸O)
という同位体があります。
これらの同位体の組み合わせによって、
水には理論的に多数の「種類」が存在します。
通常の水(H2¹⁶O)、重水(D2¹⁶O)、半重水(HD¹⁶O)、
酸素18を含む水(H2¹⁸O)など、
様々な分子式の水が存在します。
私たちが日常的に「水」と呼んでいるものは、
厳密には単一の化合物ではなく、
様々な同位体の組み合わせによる「混合物」です。
自然に存在する水は、
これらの同位体変異体を含む混合物であり、
その割合は標準的な応用には
目立った影響を与えないほど小さいものの、
確実に存在しています。
これらの同位体変異体は
単なる「わずかな違い」ではなく、
熱力学的に区別可能な本質的に異なる物質です。
19世紀の物理化学者ウィラード・ギブスの熱力学理論、
特に「混合のエントロピー」という概念によれば、
異なる物質を混合すると、
必ず一定の「混合のエントロピー」が生じます。
このエントロピー変化は、
物質を分離する際に必要な熱量として測定可能です。
デューテリウム酸化物(重水)と放射性水を、
互いにまたは「通常の水」(プロチウム酸化物)と混合すると、
ギブスが定めたエントロピー変化を示します。
しかし、「通常の水」同士を2つ混合しても、
そのような変化は起こりません。
これが意味するのは、重水と通常の水は、
熱力学的に明確に区別される
「異なる化学物質」だということです。
見た目は同じかもしれませんが、
科学的には別の物質なのです。
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