『身長は、住む場所でも決まる!〜リアルサイエンスシリーズ』
心身の健康ヘルスケア・パーソナルコーチのリアル・サイエンスドクタ—崎谷です。
身長は住む場所によって異なるというのは、皆さんもなんとなく納得されているのではないでしょうか?
私は、南の国の人はずんぐりムックリタイプの体型で、北側の人は背が高くスラッとした体型の人が多いという印象を持っていました。
もちろん、例外があります。
私が最近驚いたのは、南の温かい国であるマレーシア人(華僑(かきょう)を除く肌の黒い原住民)に背の高い人が結構多いことです。
これは、先日お伝えした食べ物が関係していると考えていますが、もう一つ身長に関して重要なファクターがあります。
それは、まさに私たちが育った場所。
身長と生活の場所の関係について、興味深い研究データがあります(The mountains of giants: an anthropometric survey of male youths in Bosnia and Herzegovina. Royal Society Open Science. 2017;4(5):170445)(The coast of giants: an anthropometric survey of high schoolers on the Adriatic coast of Croatia. PeerJ. 2019; 7: e6598)。
何かと戦争の火種になってきたバルカン半島に、山側から海側(アドリア海)へとモンテネグロ、ボスニアーヘルツゴビナ、クロアチアという国々が並んでいます。
この国の中で、最も平均身長が高いのが山側のモンテネグロ人です。それに対して、平地のモンテネグロ人、ボスニアーヘルツゴビナ人、海抜に近いクロアチア人は、平均身長が最も低くなっています。
モンテネグロ人、ボスニアーヘルツゴビナ人、クロアチア人はほとんど同じ民族集団であり、遺伝的違いはそれほどありません。
つまり、標高の高いところに住んでいる人ほど、背が高くなるという傾向あるということです。
その理由は、やはり糖のエネルギー代謝および骨形成と密接に関係する「二酸化炭素(CO2)」が鍵を握っています。
標高の高い人ほど、酸素分圧が低いため、血液中には「二酸化炭素(CO2)」濃度が高くなります(なぜ二酸化炭素(CO2)濃度が高くなれば、背が伸びるのかは次回に説明していきます。)。
そして、もう一つの理由が水の質にあります。
標高の高い山の水は、平地や海抜に近い場所の水とは質が違います。
水の質が体に多大な影響を与えることは、みなさんの体の60~70%が水で構成されていることを考えるだけでも分かります。
この2つの理由が、山側に住む人の成長が良い理由となります。
同じ民族(遺伝子が近い)で、同じ食習慣であれば、標高の差(水の質も含む)が身長の差になっていることの傍証となります。
山に住む人は、海抜の低い場所に住む人よりも、背が高いだけでなく、心身も健全です(生命保険会社はこの事実を知っています)。
今回は、食べ物以外にも住む場所によって身長という表現型(見える形、form)に差が出るという大変興味深い内容をお伝えしました。
みなさんも、ご自分でデータととって調べてみてください(^_−)−☆。