1. HOME
  2. ブログ
  3. 『摂取してはいけない医薬品:不純物添加問題〜リアルサイエンスシリーズ』

Blog

ブログ

Dr.HIRO

『摂取してはいけない医薬品:不純物添加問題〜リアルサイエンスシリーズ』

 

 

 

心身の健康ヘルスケア・パーソナルコーチのリアル・サイエンスドクタ—崎谷です。

 

 

世界保健機関(WHO)は1月23日、昨年、咳止めシロップの汚染で多数の子どもが死亡したことを受けて、子どもを汚染された医薬品から守るために「迅速かつ一致した行動」を求める声明を発表しています(『WHO urges ‘immediate action’ after cough syrup deaths』 Reuters, January 24, 2023)。

 

 

 

 

 

 

昨年、ガンビア、インドネシア、ウズベキスタンで、汚染された咳止めシロップによる急性腎障害で5歳未満を中心に300人以上の子どもが死亡しています。

 

 

 

 

 

 

工業用の溶媒や不凍液などに使用されるジエチレングリコールとエチレングリコールがこの咳止めシロップ内に高濃度認められました。

 

 

 

 

 

 

 

高濃度ということは、製造過程でのミスによって偶発的に起こったものではなく、意図的に行われているということです。

 

 

 

 

 

実際にここ80年間、液体状あるいは軟膏の医薬品の使用でたびたび(ジ)エチレングリコール中毒が起こっています(Diethylene Glycol in Health Products Sold Over-the-Counter and Imported from Asian Countries. J Med Toxicol. 2011 Mar; 7(1): 33–38)。

 

 

 

 

 

 

なぜ(ジ)エチレングリコールをわざわざ医薬品に混入するのでしょうか?

 

 

 

 

それは、製造会社は、溶媒としてはコストのかかるグリセリンの代替として安価な(ジ)エチレングリコールを意図的に使用しているからです(Medication-associated diethylene glycol mass poisoning: a review and discussion on the origin of contamination. J Public Health Policy. 2009;30:127–143)(Diethylene glycol poisoning. Clin Toxicol (Phila). 2009 Jul;47(6):525-35)。

 

 

 

 

(ジ)エチレングリコールの毒性は、腎臓だけでなく、脳神経系や肝臓まで広範囲に及びます。

 

 

 

 

(ジ)エチレングリコールの中毒症状としては、発熱、全身疲労感、呼吸困難、脱力、腹痛、乏尿(無尿)、酩酊状態などを呈します。

 

 

 

 

 

(ジ)エチレングリコールは、なぜ広範囲の臓器に悪影響を及ぼすのでしょうか?

 

 

 

(ジ)エチレングリコールは肝臓で代謝されると、アルコールと同じく、アルデヒド(プーファの脂質過酸化物)を発生させます。このアルデヒドが全身の臓器障害を引き起こすことは、拙著で繰り返し述べているところです。

 

 

 

 

 

またアルコール以外にも有害な「オキシニ酢酸(diglycolic acid (DGA))」を発生させます。この物質は、ミトコンドリアでのエネルギー代謝(TCA回路)を止める作用を持っています(Diglycolic acid inhibits succinate dehydrogenase activity in human proximal tubule cells leading to mitochondrial dysfunction and cell death. Toxicol Lett. 2013 Aug 29;221(3):176-84)(Diglycolic acid is the nephrotoxic metabolite in diethylene glycol poisoning inducing necrosis in human proximal tubule cells in vitro. Toxicol Sci. 2011 Nov;124(1):35-44)(Neurotoxic effects of nephrotoxic compound diethylene glycol. Clin Toxicol (Phila). 2021 Sep;59(9):810-821)。

 

 

 

 

つまり、糖のエネルギー代謝がストップします。

 

 

 

 

そのために、私たちの細胞は、乳酸を過剰産生する状態(解糖系の亢進=ガン細胞の代謝)になり、「乳酸アシドーシス」という準ショック状態になるのです(In-vivo evidence of nephrotoxicity and altered hepatic function in rats following administration of diglycolic acid, a metabolite of diethylene glycol. Clin Toxicol (Phila). 2017 Mar;55(3):196-205)(Diglycolic acid inhibits succinate dehydrogenase activity in human proximal tubule cells leading to mitochondrial dysfunction and cell death. Toxicol Lett. 2013 Aug 29;221(3):176-84)(Diglycolic acid, the toxic metabolite of diethylene glycol, chelates calcium and produces renal mitochondrial dysfunction in vitro. Clin Toxicol (Phila). 2016 Jul;54(6):501-11)。

 

 

 

 

今回はインドの製造会社で発覚した問題ですが、中国も過去に同じ問題を引き起こしています(Outbreak of acute renal failure in Panama in 2006: a case-control study. Bull World Health Organ. 2008;86:749–756)(Epidemic of pediatric deaths from acute renal failure caused by diethylene glycol poisoning. JAMA. 1998;279:1175–1180)(Venous diethylene glycol poisoning in patients with preexisting severe liver disease in China. World J Gastroenterol. 2008;14:3236–3241)(Medication-associated diethylene glycol mass poisoning: a review and discussion on the origin of contamination. J Public Health Policy. 2009;30:127–143)。

 

 

 

 

過去のニュースレターでもお伝えしましたが、現在医薬品(ジェネリックでないものも)は、たびたび不純物の添加が発覚するこのインド、中国で製造されています。

 

 

 

 

 

 

その品質の検査も杜撰そのもので、事実上の規制がないに等しい状態になってきます(FDAはスタッフが足りないといつもの常套言い逃れで済ましている)。

 

 

 

 

 

医薬品ですらこの状態ですから、食品、サプリメントやドッグフードなどは無法状態といって良いでしょう。

 

 

したがって、医薬品に限らずサプリメントも食品もすべて摂取する個人責任ということになります。

 

 

 

医薬品も大半が有効成分以外の添加物であり、“超加工品”ということを再認識しておきましょう(^_−)−☆。

 

 

 

関連記事