『最期のデーツ』
心身の健康ヘルスケア・パーソナルコーチのリアル・サイエンスドクタ—崎谷です。
『最期のデーツ』
自然公園の散歩で、ときおり排水溝から目の輝きをみかけることがあります。
この目は、実はタヌキです(先日は、住宅地の排水溝に穴熊がいました😃)。
決まって排水溝に潜んでいるタヌキが、今日は珍しく草の上を歩いていると思ったら・・・・
皮膚はすでにボロボロで今にも倒れそうな歩みでした。
大きさは小型犬の一回り小さいくらい。
タヌキもフサフサの毛がなくなると、実際の体の大きさはかなり小さく感じます。
どうやらもう歩くこともできないくらい衰弱しているようです。
私たちのワンちゃんが吠えるので、先に車で待機してもらって、再びタヌキちゃんのところに向かいました。
娘がワンちゃんの散歩用に持ってきた黒糖バナナチップをあげると、塞がってほとんど見えていない目でこちらを見上げて、地面のバナナチップをほうばりました。
「少しは生命をつなげたかな?」
娘は、タヌキを自宅に連れて帰って介護しようと言い出しましたが、ワンちゃんが吠えるので余計にストレスになると判断し、そのままにしておきました。
そのタヌキちゃんのことが数日頭から離れませんでした。
そして4日後、今度は反対側の自然公園の排水溝で再びそのタヌキちゃんを発見しました。
またワンちゃんが吠えるので、先に車で待機してもらって、すぐにタヌキちゃんのところに向かいました。
「まだ生きていたんだね。」
タヌキちゃんは、排水溝から地上に上がって、草むらでワンちゃんのようにくるまって娘を待っていました。
その日にワンちゃんの散歩用に持っていたデーツをタヌキちゃんにあげると、おいしそうに食べていました。
食べ終わったあとも、草の上でくるまって日光浴していました。
「これで元気になったかな?」
そして翌日。
ワンちゃんの散歩で同じところを通りかかったときに、そのタヌキちゃんがまったく同じ態勢で草むらの上にいました。
気になって、すぐにタヌキちゃんを見に行くと、すでに魂が体から旅立っていたのです。
娘は号泣しました。
「あれが最期のデーツだったんだね。」
自然公園の木には、管理人たちが作成したポスターがいまでも貼り付けられています。
そのポスターには、「病気のタヌキが出没しています。近寄らないようにしてください。」とあります。
「人間中心」という驕り高ぶった人間という種の醜悪さがハイライトされているように思えました。
今日もまだ木に貼られているタヌキちゃんへの警告ポスターが風にひらめいていましたが、もうその写真を直視することができませんでした。
何事もなかったかのように、ワンちゃんとまた歩き出しました。
先に逝ったタヌキちゃんの魂と再び逢えることを祈りながら。