『抗酸化サプリが不必要な理由〜リアルサイエンスシリーズ』
心身の健康ヘルスケア・パーソナルコーチのリアル・サイエンスドクタ—崎谷です。
抗酸化物質と聞くと、野菜やサプリメントを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
抗酸化物質はみなさんのイメージとは違い、外部から過剰に摂取するとむしろ危険であることを繰り返しお伝えしています。
それは、私たちは体内で必要量の抗酸化物質を産生する能力があるからです。
むしろ、現代人には糖のエネルギー代謝を回す「酸化物質」が不足しています。
さて、抗酸化物質は、動物性食品にも豊富に含まれています。
牛肉、豚肉、鶏肉などに含まれている代表的な抗酸化物質は、「イミダゾール含有ジペプチド(Imidazole-containing dipeptides (IDPs))」です(Quantitative Determination of 2-Oxo-Imidazole-Containing Dipeptides by High-Performance Liquid Chromatography/Tandem Mass Spectrometry. Antioxidants. 2022; 11(12):2401)。
アレルギーではありがたくない「ヒスタミン」という物質が主役となります。
くしゃみ、鼻水、痒みなどを引き起こします。
このヒスタミンの原材料となるのが「ヒスチジン(histidine)」というアミノ酸です。
このヒスチジンに他の物質を結合させて作られたものが、「イミダゾール含有ジペプチド(IDPs)」なのです。
ヒスチジンが過剰にならないように回収してくれるだけでも有り難い話ですが、この物質には他にも様々な健康増進効果があることが分かっています(基礎医学『糖のエネルギー代謝とアミノ酸』参照)。
動物が自ら体内で産生する「イミダゾール含有ジペプチド(IDPs)」は、抗酸化作用以外にも重金属のキレート作用、プーファの脂質過酸化反応のストップ作用などが報告されています(2-Oxo-Imidazole-Containing Dipeptides Play a Key Role in the Antioxidant Capacity of Imidazole-Containing Dipeptides. Antioxidants. 2021; 10(9):1434)(Isolation of balenine from opah (Lampris megalopsis) muscle and comparison of antioxidant and iron-chelating activities with other major imidazole dipeptides. Food Chem. 2021, 364, 130343)(Binding of Copper(II) to Carnosine: Raman and IR Spectroscopic Study. Biopolymers 2000, 57, 149–159.)(Non-enzymatic glycosylation of the dipeptide L-carnosine, a potential anti-protein-cross-linking agent. FEBS Lett. 1995, 371, 81–85)(Carnosine and advanced glycation end products: A systematic review. Amino Acids 2018, 50, 1177–1186)。
プーファ過剰によって発症する糖尿病、心臓血管疾患、ガン、老化、認知症などにも有効であることが示されています(Physiology and pathophysiology of carnosine. Physiol. Rev. 2013, 93, 1803–1845)。
「イミダゾール含有ジペプチド(IDPs)」は、筋肉以外にも、脳、肝臓、腎臓などにも存在しています(2-Oxo-histidine-containingdipeptides are functional oxidation products. J. Biol. Chem. 2019, 294, 1279–1289)。
動物性食品には、抗酸化作用(実際はフリーラジカル消去作用)以外にも多様な健康増進効果をもつ物質が含まれているのです。
したがって、わざわざ抗酸化物質のために、大量の野菜やサプリを摂取する必要はないということですね(^_−)−☆。