『動物は“動く”生き物〜リアルサイエンスシリーズ』
心身の健康ヘルスケア・パーソナルコーチのリアル・サイエンスドクタ—崎谷です。
近代社会では、ホワイトカラーとブルーカラーに二分されて、その格差が拡大してきました。
現代社会の勝ち組と呼ばれる人たちも、1日中PCにむかってインターネットを駆使して富を築いています。
一方、1日中体を駆使して働く労働者は、低賃金のまま据え置かれています。
ニューノーマルでは、この現象がさらに加速していくでしょう。
ただし、ニューノーマルでは、頭脳労働がAIに置き換わり、労働できないホワイトカラーは絶滅することになります。
頭脳労働では、身体労働と比較すると身体を動かすことが極端に減ります。
私も受験勉強に明け暮れた若い頃に、友人に誘われて土木工事のアルバイトをしていた時期があります。
早朝から体を動かして、みんなと一緒に昼ごはんを食べて夕方には仕事は終わります。
その後は、なんとも言えない充実感と同時に眠気が襲ってきて、熟睡できた経験があります。
その一方で、1日中PCにむかって仕事をしていると、身体がザワザワしてきます。
眠りも浅くなり、夜間も何度も起きてしまいます。
身体労働している人は、低賃金ですが顔の表情が良い人が多いです。
一方、投資やインターネットビジネスで高い収益をあげている頭脳労働の場合は、表情が冴えない人が多い印象があります。
身体労働の方が心身に良いことは明らかです。
なぜ身体活動の方が、頭脳労働よりも気分が良いのでしょうか?
身体活動とストレス耐性を調べた興味深い研究が報告されています(Moderate-to-vigorous physical activity and reactivity to acute psychosocial stress in preadolescent children. Journal of Science and Medicine in Sport, 2023; DOI: 10.1016/j.jsams.2023.07.010)。
研究は、10~13歳の子供110人を対象に、服に運動量を計れるセンセーを付けて1週間過ごしてもらいます。その後、実験室でストレスを与えて、ストレス反応を測定しています。
ストレスの指標として、唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)濃度を測定しました。
その結果、身体活動が多い人ほど、ストレスが与えられた環境で、唾液中のコルチゾール濃度が低くなることが分かりました。
つまり、身体活動によってストレス耐性(resilient)が高まるということです。
一日中、PCにむかって仕事をしているとザワつくのは、ストレスホルモンが過剰に産生されているからです。
その場合は、ちょっとしたことで、怒りなどの感情が暴発したりする危険があります。
身体労働でない場合は、定期的にデスクから離れて、体を動かすことでストレス耐性が高まります。
ヒトも“動物”なので、身体活動が基本だということが分かります。
ニューノーマルでは、♨️彼らは、ヒトが動物からロボットへと退化していく世界を思い描いているのです。