NLB-音と波動:低周波音域とノイズ(騒音)について
音楽を含めて全ての音は、空気という媒質(medium)を通過して、
私たちに振動(vibration)というエネルギーを伝えます。
この音の振動エネルギーは、聴覚という感覚だけでなく、
触覚や平衡感覚(位置感覚)も刺激します(Feeling Music: Integration of Auditory and Tactile Inputs in Musical Meter Perception. PLoS One. 2012; 7(10): e48496)(Vestibular responses to loud dance music: a physiological basis of the “rock and roll threshold”? J. Acoust. Soc. Am. 107, 496–500)。
この平衡感覚は、私たちが母親の子宮の中にいたときに
最初に発達させた感覚であり、
それが音というエネルギーによって刺激されるという事実は、
大変興味深いものです(Romand R. (Ed.) (1992). Development of auditory and vestibular systems)。
さらに、音は、高音域に限らず低音域においても、
聴覚という意識される大脳皮質だけでなく、
意識されない脳幹、視床下部や大脳辺縁系といった
重要な脳組織にも影響を与えるため、
呼吸・循環・形態形成維持(免疫)、ホルモンシステム、
消化吸収システムといった生命の基本的なシステムに
影響を与えます(Introduction to the special issue on low frequency noise. Noise Health. 2004 Apr-Jun;6(23):1-2)(The influence of stressors on biochemical reactions–a review of present scientific findings with noise. Int J Hyg Environ Health. 2000 Mar;203(1):45-53)。
音楽やある種の音で、感情が揺さぶられるのも、
この意識されない脳の部位(大脳辺縁系)に
ダイレクトに作用するからです(Why Do People Like Loud Sound? A Qualitative Study. Int J Environ Res Public Health. 2017 Aug; 14(8): 908)(Neuronal connectivity and interactions between the auditory and limbic systems. Effects of noise and tinnitus. Hear Res. 2012 Jun;288(1-2):34-46)。
私たちが聴くことができない低周波の音域を
「インフラサウンド(infrasound):1–16 Hz」といいます。
このインフラサウンドを含めた250 Hzまでの音域を
低周波音域と呼んでいます。
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