NLB-超低周波領域の電場、磁場と生命体
電場と磁場の波を統合して電磁波と呼んでいますが、
超低周波(300Hz以下、extremely low frequency (ELF))の特徴を持つ電力設備、家電製品電源では、
電場と磁場を分けて計測できます。
しかし、ラジオ、電子レンジ、衛生放送、携帯電話、WiFiのような高周波(>10MHz)になると
電場と磁場が強く重なるため「電場」と「磁場」を1つのもの、
つまり電磁場(電磁波の集中度(放射密度))として測定しています。
これらの一般の生活に関わる電力による電磁場は、1–100 Hzの低周波です(WiFiや携帯電話を除く)。
北米の電源(コンセント)に送電されているのは、交流電場で60Hz、ヨーロッパでは50Hzです
(The effects of extremely low-frequency magnetic fields on melatonin and cortisol, two marker rhythms of the circadian system. Dialogues Clin Neurosci. 2012 Dec; 14(4):381-99)。
日本は、新潟県の糸魚川と静岡県の富士川を結ぶ線を境に東側は「50Hz」、西側は「60Hz」になっています。
電場は私の皮膚表面に止まる(帯電、静電気)に対して、磁場は皮膚を通過して体内に影響を与えるとされています。
ちなみに、製品の出力によりますが、一般的に冷蔵庫に密に接すると500 V/m
電子レンジで300~400 V/mノート型パソコンで500~600 V/m蛍光灯で600~700 V/m程度の電場が生じています。
アースを取らない場合には、電流が流れるとノート型パソコンで50〜60nT(ナノテスラ)程度の磁場が測定されます。
これらの電場や磁場は発生源から距離を取ると減衰していきますが、
高周波領域の電磁場と比較して、これらの超低周波(ELF)の電場や磁場の生命体への悪影響は、
公式見解ではないとされてきました。
組織国際非電離放射線防護委員会(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection ICNIRP)
およびDirective 2013/35/EUの公式見解では、1ミリテスラ(mT)以下の磁場では、
生命体に明らかな悪影響は及ぼさないとしています(Gaps in Knowledge Relevant to the “Guidelines for Limiting Exposure to Time-Varying Electric and Magnetic Fields (1 Hz-100 kHz)”. Health Phys. 2020 May118(5):533-542)(Occupational Exposure to Electromagnetic Fields and Health Surveillance According to the European Directive 2013/35/EU. Int J Environ Res Public Health 2021 Feb 1018(4):1730)(Biological and health-related effects of weak static magnetic fields (≤ 1 mT) in humans and vertebrates: A systematic review. PLoS One. 2020 Jun 9;15(6):e0230038)。
組織国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の見解では、
一般の磁場暴露に関しての安全値を400mTとしていますが、
これは急性の暴露であって、長期的な暴露量ではありません(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection (ICNIRP). Guidelines on limits of exposure to static magnetic fields. Health Phys. 200996(4): 504–514.)。
磁場の安全値も、放射線やワクチンの安全性の議論と同じ問題を抱えています。
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