NBL-水・酸素と水素
今回のニュースレターでは、引き続き体内の電気的生体反応における元素についてです。
体内でのイオン化を可能にし、電気シグナルを伝達するには水とアミノ酸組成と脂質がカギになります。
今回はその中でも水を構成する酸素と水素について眺めてまいりましょう。
Oxygenという名は1779年にフランス人の科学者ラヴォアジェが名付けました。
「酸を作るもの」として、ギリシア語の oxys(酸)をgennao(生じる)が語源になります。
実際には、塩化水素などの酸素を含まない酸も存在し、
本来の「酸の素」と呼べるのは水素であることが後々わかったそうです。
名前はそのままOxygen として残っています。
酸素はみなさんが身の回りで最も身近な存在で、
「呼吸」という体感できる動作によって「吸い込んでいる」ことが実感でき、
体内でも様々なものと結びつき合って反応を起こしている元素です。
これもまた、反応性が高く、相手から電子を奪うことで動きが止まり次に反応を起こすチャンスをうかがいます。
元々は地球上の水と二酸化炭素の光分解で生じ、水の中に溶け込んだまま海の中にいたのです。
海中の生命体である微生物や、植物プランクトン、また藻類が光合成をして
彼らにとっては有害な酸素を外に放出して生まれます。
酸素がまた移動するチャンスがあるのは、環境に変化がある時です。
温度の上昇、塩分濃度、気圧の変化などで酸素は手放されたり、また誰かとくっついたりするのです。
呼吸によって取り込んだ酸素は、通常肺胞にまで達して毛細血管に入りこみ、
そこで赤血球(正確にはヘモグロビン)と手をつなぎます。
この結合がうまくいく酸素は、取り込んだ酸素のうちの30%にも満たないとされています。
ヘモグロビンには抱えられているだけで、完全にくっついているわけではありません。
細胞まで届けられたらそこで糖や脂質と反応を起こしてATP というエネルギー通貨を生産します。
ここでまた二酸化炭素と水に戻ります。
酸素はこういった生物の呼吸に使われるだけでなく、「燃える」ことにも使われます。
焚き火、たいまつ、焼畑、といった植物を燃焼させると放熱があり、
新しく二酸化炭素と水蒸気としての水になります。
ここで視点を変えて眺めれば、呼吸で起こる反応も体内での「燃える」こととして捉えることができますね。
ATP の生産も同様ですが、酸素が「燃える」ことによる電子の受け渡しで、
細胞でも水と二酸化炭素を生じさせます。
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