痛風
病因
痛風は甲状腺機能低下症の部分症状です。甲状腺機能が低下すると、実際にそれをカバーするために尿酸値が上昇します(Clin Exp Rheumatol. 2001 Nov-Dec;19(6):661-5)。しかし、尿酸が生成される条件が問題になってきます。核酸やAMPなどの尿酸への代謝過程で発生する活性酸素・窒素種(ROS,RON)が痛風の本当の原因です。尿酸を最終的に形成する酵素です。その酵素を「キサンチン酸化還元酵素(XOR: Xanthine oxidoreductase )」といいます。
この酵素の大変興味深いところは、周囲の場によって酵素のタイプが変化することです(エピジェネティックに変化する、環境因子で変態する)。通常の生理的条件(ストレスがかかっていない状態)では、キサンチン酸化還元酵素(XOR)は、キサンチン脱水素酵素(XDH: Xanthine dehydrogenase )として尿酸を形成する触媒作用をします。
ところが、炎症,還元ストレス(NAD+低下)下では、キサンチン脱水素酵素(XDH)は、キサンチン酸化酵素(XO : xanthine oxidase )へ転換されます。
キサンチン酸化酵素(XO)は、尿酸を形成する際に活性酸素種・窒素種(ROS,RON)を産み出してしまいます(Int J Cardiol. 2016 Jun 15;213:8-14)(Redox Biol. 2013 Jun 10;1:353-8)。これは鉄とプーファの存在下では致命傷になります。実際にキサンチン酸化酵素(XO)によって、以下のことが起こります。
・小腸から鉄の吸収をアップ(Biochemistry. 1982 Sep 14;21(19):4529-35)
・フェリチン(肝臓)から鉄を遊離(Biochem. Biophys. Res. Commun., 109 (1982), pp. 1240-1246)
・フェントン反応でハイドロキシラジカル(•OH)が発生(J Biol Chem. 1989 Jun 15;264(17):9880-4)
そして、実際にキサンチン酸化酵素(XO : xanthine oxidase )が増加するとオメガ3から形成される過酸化脂質(MDA)が増加することが分かっています(Chin J Integr Med. 2015 Mar;21(3):229-33)。
糖尿病ではキサンチン酸化酵素(XO : xanthine oxidase )と脂質過酸化が増加することで白内障を起こすことが報告されています(Clin Chem Lab Med. 2001 Sep;39(9):818-21)(Diabet Med. 2005 Oct;22(10):1343-6)。
尿酸値そのものが高くなることが痛風を引き起こすのではありません。あくまでもキサンチン酸化酵素(XO)がストレス下で過剰発現することで炎症が引き起こされるのです。一方のストレス下にない生理的条件で働くキサンチン脱水素酵素(XDH)によってプリン体代謝が触媒される場合には、炎症は引き起こされません。
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